・通常ヤートセ(よさこい・yosakoi)は 大勢で群がって踊る”群舞”の形式をとる。 ・そのため、一人ひとりの踊り(ダンス)だけでは、 創り手が考えている(思い描いている) ヤートセ(よさこい・yosakoi)作品になり得ない可能性が出てしまう。 ・その為には一つ一つ、踊り(振付)を分析し、 演舞全体の構成を把握していく必要が出てくる。 ・優れた演舞作品には、一つ一つの踊り(振付)そのものの方法、方式と、 数歩(数拍)後に、ある地点に移動し到達するであろう 歩数まで正確に埋め込まれている。 ・すこしづつですが、演舞を分析した内容をメモしていく。 この演舞分析メモが、皆さんの踊り(振付)にお役に立てたなら幸い。 * 2011/09/18 現在のメモ * <前後左右向き> ・ステージ方式、パレード(流し)方式いずれも、前方だけでなく 前後左右いずれかでお客様が見ている。 ・正面を向いてばかりの振付はまず無いといえる。 必ず一度は前後左右いずれかの方向に顔を向けるはず。 ・この件を逆手にとれば、正面以外を向いている演出も組めるはず。 むしろ、正面を向き続ける必要もないということ。 背中を見せながら踊って欲しいというと踊り手が戸惑うかと思うが、 お客様が何かがおこるのだろうと 期待しながら演舞に吸い込まれる最も簡単な演出だとも思う。 <上下伸び縮み> ・パラパラダンスや手話ダンスのように起立しての手振り踊りもあるが、 しゃがみ動作やジャンプも振付には存在する。 体を使って起伏を表現するだけでも見ものとなりえる。 ・上下伸び縮みの度合いが大きくなればなるほど、芸術性や意外性がアップ。 たとえば前の一人がしゃがんだと同時に後ろの踊り手が大ジャンプ等という演出。 もっと大きくしたいのであれば、踊り手がしゃがんだと同時に あらかじめ下ろしていた旗を旗手が一斉に上げてもらってみたい。 <横への広がりと収縮> ・人間の幅は両手を広げて道具を持っていれば2mくらい大きくなれる。 横に5人も並べば10mくらいの表現も可能で圧巻。 ・しかし、前列から見ているお客さんには横幅が広いほど 一人の踊りに対して振付を見抜く時間が減る。 つまりせっかく細かく創った振付が見逃されている可能性がある。 ・踊り手同志ができるだけくっついて踊ってみせたい。 振付が密集すると作品の一体感が増す。 つまり、わりと皆が上手に踊っているように見える。 ・右の踊り手と左の踊り手が入れ替わってみると? これがもっとも簡単な横の伸縮にみえる演出。 <前進と後退> ・その場でずっと踊っている板付きの踊りよりも、 移動している方がお客様は見ていて楽しい。 前進と後退を駆使してステージを駆け巡ってほしい。 ・お客様が見やすいというお客様希望の立ち位置は、後方だとうれしい。 できればステージの半分より後ろに立とう。 照明器具も当たりやすくなる。 ですが、たまにお客様の近くで踊るのも演出として効果がある。 ・なお、前進と後退を同時に見せられる最も簡単な演出は、 前向きの踊り手の手と後ろ向きの踊り手の手を合わせて 合わせた手を中心にクルクル回ってみよう。 意外と爆発力のある見た目に進化する。 <統一性> ・振付が揃っているのはもちろんのこと、揃って同じポーズをとるのも効果アリ。 ・わざと同じポーズを数カウント保持しつづけるのもお客様の目を引く。 ・踊りだけではなく、衣装や道具、セリフや掛け声を統一するだけでも 一体感が増す。 ・同じポーズが続く踊りで最も簡単なのは、ステージを規則正しく”歩く”こと。 数カウント振付無しでただ歩き続けて移動するだけでも演出効果あり。 <規則性> ・同じ展開を何度か繰り返すことで、お客様の脳裏に印象づけることができる。 しかも、踊り手としても同じ展開の振付があるほうが踊りやすいと思う。 じつは、難しい振付を無理にたっぷり入れるよりも、 易しい振付を規則正しく何度か魅せるだけで、演舞が良く見える錯覚がおこる。 <読めない展開> ・踊り手さん、ハプニングやミスを恐れないでほしい。 お客様が最後まで頑張って踊ってくれるよう応援して、注目してくれる。 ・振付のカウントを知り尽くしていれば、数カウントアドリブを入れて戻ってくるなど 意図的に読めない展開を作り出すことも出来る。 <計算しつくされた無駄の無い振りの構築> ・無駄の無い振りとは、カウント内にフリーなフィラー(あそび)部分が あることを言います。あえて踊らない部分を作っておく。 カウント内にフィラーがあれば、両手両足に自由が利く。 自由が利けば移動に使えたりアドリブが入れられたり、振付のアレンジも可能になる。 ・構築には音楽的な知識も必要となります。音符や休符のしくみの理解が必要。 <連鎖> ・連鎖が分かりやすく成立するのは、分割する数のカウントが後半に残されている時だけ。 かつ、連鎖される振付が一番最初にある事。 少なくとも(連鎖したい振付のカウント数)×(分割したい数)あれば足りる。 <目を閉じても耳をふさいでも伝わるリズム感> ・足の音、鳴子の音、衣装が風を切る音、 目を閉じてもどんな踊りをしているのかを感じ取れる。 また、耳をふさいでも踊り(振付)が何を示しているのかを感じとれれば 音量を0にした映像を見たとき、音楽を想像できそう。 踊りを見ないのか?音楽を聴かないのか?と言われそうだが、 お客さんの楽しみ方もいろいろだから、楽しんでもらえる作品は末永く愛される。 <音楽音符と歌詞内容と踊りの一致> ・構築には音楽的な知識も必要となる。音符や休符のしくみの理解が必要。 ・カウントが長い物から全音符、2分音符、4分音符、8分音符、16分音符、、、 付点が付いた音符なんてのもある。 作品内に様々な音符パターンがバランスよく配分されていると、 踊り手もお客様も飽きがこない。 ・また、歌詞の中に”鳴子両手で”と言っているのに ”キック”や”ターン”をしていては踊り手もお客様も感情移入が難しいかも。 なるべく歌詞になぞらえたイメージの振付を構築するのが大切。 <真似しやすい> ・なによりもまず、真似しやすいこと。ステージでお客様が真似してくれたならば 踊り手もお客様も一体になれます。真似してくれるとうれしい。 ・他の作品で根拠無く同じ演出を導入する模倣、パクリは印象ダウンで危険。 <シンプル> ・楽曲に繰り返しのメロディがあるのならば、なるべく同じ振付で統一に。 お客様が感情移入しやすくなる。 <一部少し難しい> ・創り手の能力が発揮できる最大かつ唯一の部分。 ちょっとだけ必死になれるポイントを。 <フリーパート> ・オープニングからエンディングまで、がっちがちの振付は お客様は釘付けですが踊り手がひーひーいってしまう。 少しあそびがあれば踊り手が喜ぶうえ、意外性もだしやすいのでは? <世界観> ・なんらかのテーマをもって踊る。 MCが居れば少し説明してから踊りを見せよう。 お客様が感情移入できると思う。 <お茶目> ・すこしぐらいお茶目なほうがいいんじゃないですか。 <男気> ・男気魅せようぜ。頑張っている姿、気合の入った姿は格好いい。 <かわいい> ・必要!この要素! かわいい振付を創ったり踊るのがもっとも難しい。 <お笑い> ・丁寧に作りこまれたお笑い要素もアリ。バカ・アホ上等。 お笑いだけは絶対”適当”にやっちゃダメ。ウケようが滑ろうがやりきるのが大切。 はじめとおわりの挨拶をしっかりやならいと、 お客様にオフザケと勘違いされてやけどする。 <オフザケ> ・こちらはお笑いと似て非なるもの。”適当”の部類。 悪ふざけはお客さんが嫌いな要素。 ・トークで「グダグダでした。」「ぜんぜんダメでした」だけは禁句。 グダグダなものをみせられたとお客様が思い込まれる。 ・どんなに話題が無いにしても必ず最後に「一生懸命頑張りました」と言い換えて! そうすればお客様が少し許してくださる。 ・大事なことなので2回言いますが、はじめとおわりの挨拶をしっかりやならいと、 お客様にオフザケと勘違いされてやけどする。 <お色気> ・いいね!!でも露骨なエロスはいかん!と思いますがどうでしょうか。 <振付表> ・ヤートセ(よさこい・YOSKAOI)振付に限らず、 踊りには振付表を作成すると便利。 ・背中側から見た図(バックショット)で記入。 踊り手は、自分の前の人の背中を見ながら踊るので、 その条件と同じ図面を作り上げると親切といえる。 ・なお、楽譜と同じように、踊りを記入していくわけだが、 音楽でいう4分音符を1カウントとし、8カウントで1セット。 つまり2小節分が1セットになります。 ・8小節。つまり”4,2,3,4,5,6,7,8”までが 一単位の振付ルーティンの設計となる。 ・様々な音符ひとつひとつに”体を使ったあらゆるポーズ”が 埋め込まれていると考えられる。音楽的理論に基づき踊ることで 正確にリズミカルにダンスできると思う。 <両手間隔> ・どんなに演舞会場が広くても、両手間隔の意識だけは守っていこう。 2人で出場したとします。左端に1人、右端に1人。。。と言いたい所だが 演出上の理由が無い限り、演舞会場の中心に両手間隔て2人並びません? ・お客様は”息の合った群舞”を見たいと思うので ”一人ひとりの踊りそのもののレベル”にあまり興味をもってくださらない。 <角度> ・振付の中には”斜め”方向に動作するものがある。 大体このへんという覚え方では正確に覚えることができない。 必ず目安となる角度があります。そう、それはアナログ時計の短針。 ”右手を8時の方向に下げる”と解説されればイメージできる。 ・真っ直ぐ上空に手を上げたければ、 ちからこぶを耳に当てながら手を伸ばしてみよう。